特別講義のお知らせ(4/4(水)): 量子センシング・ナノNMR (筑波大学・名誉教授 磯谷順一)

日時: 4/4(水) 10:00-11:30
場所: DS43
講師: 磯谷順一 (筑波大学・名誉教授)
題目:量子センシング・ナノNMR

ダイヤモンドのNV(窒素―空孔)センターは, 単一分子に相当する単一欠陥を, 光でアクセスでき,
室温動作の量子センサに用い, 磁場・電場・温度などをナノ空間分解能で高感度に検出できる.
特に, ナノNMRとして, 水素, フッ素, 燐などの核種をナノ空間分解能で識別・検出できることが示されている.
ところが, NMRは結合状態を識別する高分解能を持つがゆえに,
化学・物理・生物学・医学の分野で不可欠の構造決定法の位置を占めている.
本セミナーでは, NMRに求められる高い周波数分解能をナノNMRで実現することをめざす研究を紹介する.
センサ電子スピンの数ミリ秒に代わって260秒の長い保持時間をもつ核スピンをメモリに用いて,
1 ppmの分解能(128 Hz@3T)を達成し, 通常のNMRの10桁以上少ない極微量の試料に対してケミカルシフトの観測に成功している.
この方式では単純なFIDのみでなく, 2次元NMRやMREV8など様々なパルス系列に拡張可能であり, NMRの様々な技術を駆使する発展性をもつ.
最近は, 1分子を認識するナノNMRをめざして, 13 Hzの分解能を達成している.

連絡先: 早瀬(hayase@appi.keio.ac.jp)