【プレスリリース・論文掲載】高速な変調を可能とするマイクロ偏光熱光源を実現-偏光を用いた分析・センシング技術への応用が期待-

牧研究室・博士課程俣野君の研究が、トップジャーナルのNano Letters誌(インパクトファクター:12.262)に掲載されました。この研究は、米国ライス大学との共同研究で進めました。カーボンナノチューブを用いて、世界初の超高速・広波長域・高集積のチップ上偏光赤外光源を開発するとともに、その動作理論をシミュレーションで明らかにしました。

【以下、プレスリリースより。】

物理情報工学科の牧英之教授と牧研究室博士課程2年の俣野眞一朗は、米国・ライス大学電気・コンピューター学科の河野淳一郎教授らと共同で、一次元ナノ材料であるカーボンナノチューブが高密度・高配向に積層したカーボンナノチューブ配向膜を用いて、高速に変調(オン/オフ)できる偏光熱光源の開発に成功しました。

偏光した光は、物質分析やバイオ分析、創薬などの分野で重要であり、基礎研究から産業界まで広く活用されています。しかしながら、これらを応用した高感度化や時間依存測定には、マクロサイズの偏光板や光チョッパーを用いるため小型・集積化が困難なことや、高速な変調速度が必要にもかかわらず、最大でも数kHz程度と低速であることが問題となっていました。

今回、カーボンナノチューブを最密充填した高密度のカーボンナノチューブ配向膜を用いた発光素子を開発し、赤外広波長帯域で高速に偏光発光する熱光源を実現しました。本光源は、チップ上に微細加工したマイクロ偏光熱光源となることから、さまざまな場面で需要が高まりつつある分析・センシング技術の発展に貢献すると期待されます。

本研究成果は、2023年10月26日に米国化学会(ACS)のNano Lettersオンライン版で公開されました。

Nano Letters
プレスリリース