2001年度 椎木研究室

1.構成

教員    :椎木一夫(教授)

博士課程1年:海住英生(秋学期入学)
修士課程2年:海住英生(秋学期修了)、兼吉亮成、山内貴将、石井望
修士課程1年:五十嵐雅明、木元貴士、両角武、堀寛修、藤田滋雄
学部4年   :坂口直樹、大西利佳、林克典、平林直明、吉田美絵

2.研究成果

情報化社会の進展に伴い、磁気記憶装置に対する大容量小型化の要求が高まっている。その実現には、高密度に記録された微小な磁化情報を効率よく電気信号に変換する技術が必要である。薄い絶縁層を2枚の強磁性金属層で挟んだスピントンネル素子は、絶縁層を流れるトンネル電流が外部磁界によって大きく変化するので、次世代の高感度磁気再生ヘッドとして期待されている。しかし、電気抵抗をセンシングする従来の方法では、絶縁層に大きなセンシング電流を流せないために高い出力電圧が得られない、問題がある。我々は、スピントンネル素子がキャパシタンスを有することに着目し、新たな可能性を探った結果、新しい磁気センシングの方法を見い出した。  検討のために、下部Co強磁性層10nm、Al2O絶縁層~3nm、上部Co強磁性層50nmからなる素子を作製した。Co薄膜はメタルマスクを用いて0.3mm幅の帯状パターンとして十字型に交差させ、磁界中スパッタ法によって、磁化容易軸を直交させて成膜した。Al2O3はAlを約30nm成膜後、室温、酸素雰囲気中で約10h酸化して形成した。素子断面の透過電子顕微鏡観察及び、X線光電子分光法により、目的とする素子構造が形成されていることを確認した。  作製した素子について4端子法により、磁界中のインピーダンス変化を測定した結果、直流では従来言われているような電気抵抗変化が観察された。さらに、測定周波数を1MHz程度に高くすると、インピーダンスの虚数成分が磁界によって変化することを新たに発見した。また、その変化率は直流の電気抵抗変化率と同程度以上であり、さらに周波数を高めると大きくなる可能性を見出した。このように、高周波インピーダンスの磁界による変化を利用すると、高出力電圧、低雑音のセンシングが可能になる可能性がある。本研究は磁気記録の高密度化に新しい道を開くものと言える。

3.発表論文・学会発表・特許申請など

<原著論文>

Magnetotransport and spin configurations in patterned ferromagnetic wires Journal of Magetism and Magnetic Materials 226 (2001) 1850-1852. Tomoyasu Taniyama, Isao Nakatani, Taro Yakabe, Kazuo Shiiki, Ai Nomura and Yohtaro Yamaguchi

Stability of transverse and longitudinal bit in patterned media Journal of Magetism and Magnetic Materials 226 (2001) 2048-2050. Kazuo Shiiki, Masato Furusawa and Eijiro Atarashi

Study of overwritten magnetization on the off-track position IEEE Trans Magn MAG37(5) (2001) Ai Nomura, Kei Iijima, Yukio Haseba and Kazuo Shiiki

<国際学会>

Magneto-capacitance effect of tunnel junction 46th Conference on Magnetism and Magnetic Materials 2001 (Seatle , USA) October 13-16 CR-08 Hideo Kaiju, Shigeo Fujita, Takeshi Morozumi and Kazuo Shiiki

<国内学会、研究会>

Al/Al2O3/Alにおける絶縁破壊メカニズム解析
日本物理学会年会2001年秋季大会 17aPS-96 両角武、藤田滋雄、海住英生、椎木一夫

スピントンネル素子の高周波磁気インピーダンス効果に関する研究
日本物理学会年会2001年秋季大会 17pPSA-4 海住英生、藤田滋雄、両角武、椎木一夫

強磁性トンネル接合における絶縁層の組成と電気・磁気特性
日本物理学会年会2001年秋季大会 17pPSA-5 藤田滋雄、海住英生、両角武、椎木一夫

Co-CoO 薄膜の磁気特性
日本物理学会年会2001年秋季大会 17pPSA-30 山内貴将、椎木一夫

遷移金属のキュリー点の第一原理バンド計算
日本物理学会年会2001年秋季大会 17pPSA-44 兼吉亮成、椎木一夫

磁気記録再生出力シミュレーション
第25回日本応用磁気学会学術講演会 28pA-3  木元貴士、椎木一夫

スピントンネル素子の磁気キャパシタンス効果
電気学会センサ、マイクロマシン準部門総合研究会 フィジカルセンサ研究会(2001年11月22日) PHS-01-03 海住英生、藤田滋雄、両角武、椎木一夫

遷移金属モノレイヤーのキュリー温度の第一原理計算
日本物理学会年会2002年春季大会 25pPSA-1 兼吉亮成、椎木一夫

高周波磁気キャパシタンス効果に関する研究
日本物理学会年会2002年春季大会 25pPSA-18 海住英生、平林直明、藤田滋雄、両角武、椎木一夫

強磁性トンネル接合における絶縁層及び界面に関する研究
日本物理学会年会2002年春季大会 25pPSA-19 藤田滋雄、両角武、海住英生、椎木一夫

Al/AlO/Alにおける絶縁破壊メカニズム
日本物理学会年会2002年春季大会 25pPSA-20 両角武、藤田滋雄、海住英生、椎木一夫

<特許>

特許3171183号 録再分離複合型磁気ヘッド(登録)
特願平11-111812 特開平11-328631
小山直樹、高野公史、森脇英稔、椎木一夫

特許3204252号 薄膜磁気ヘッド(登録)
特願平11-191228 特開平2000-036108
濱川佳弘、由比藤勇、高野公史、森脇英稔、椎木一夫

特許2728487号 書き込み磁極に凸部を設けた複合型磁気ヘッド
平成13年度関東地方発明表彰(知事賞)

4.学位論文(修士論文、卒業論文)

<博士論文>

森下徹也:定温定圧第一原理分子動力学法による結晶の構造相転移の研究

<修士論文>

海住英生:スピントンネル素子における高周波インピーダンス特性
兼吉亮成:遷移金属モノレイヤーのキュリー温度の第一原理計算
山内貴将:デュアルイオンビームスパッタ法によるCo-CoO薄膜の保磁力に関する研究

<卒業研究>

坂口直樹:第一原理バンド計算によるトンネル磁気抵抗比の見積もり
大西利佳:スピントンネル素子の磁化状態シミュレーション
林 克典:トンネル素子のコンダクタンス特性測定回路の作製
平林直明:スピントンネル素子の高周波インピーダンス測定
吉田美絵:磁化特性評価システムの構築

5.進路

博士課程進学  アルファシステムズ  キャノン  富士ソフトABC  修士課程進学  修士課程進学  NTT ドコモ


Dept. Applied Physics and Physico-Informatics