2001年度 内山研究室

1.構成

専任講師 内山孝憲

修士2年 木村竜司, 田中健太郎

修士1年 青木純一, 西川龍朗

学部 中西美木子, 羽田昌弘, 山内健一

2.研究成果

ヒトの触覚機構を模倣するセンサの開発

ヒトの指には多数の圧受容器が存在し, それらの出力を統合して, 対象物を破 壊することなく, 把持することができる. そこで, 歪みゲージをハの字状に多 数埋め込んでシリコンゴムで半球状のフィンガ型センサを有限要素解析によっ て設計し, 作成した. 作成したセンサを用いて, 接触面における固着・すべり 判定法を提案し, 重量および摩擦係数が未知の対象物を把持することができた.

神経回路モデルの構築 -伸張反射系-

Ia群線維を含む筋収縮モデルを構築した. モデルは, 運動単位300個, Ia群線 維170個からなる. 主動筋を構築したモデル, 拮抗筋を線形バネとして, 上位 中枢からの入力を一定値として入力したところ, Ia群線維を含むモデルは, 筋 長の変化の振幅が含まないモデルと比較して, 大きかった. また, 上位中枢か らの入力がなく, 筋長が他動的に変化させられる条件で計算したところ, サイ ズが大きな運動単位が活動し, 小さな運動単位はあまり活動しなかった. この ことは, 上位中枢が関与しない伸張反射では, 速筋が運動を支配していること を示している.

神経回路モデルの構築 -反回抑制-

ネコの腓腹筋を支配する神経回路モデルを構築した. モデルは, α運動神経・ レンショウ細胞・筋単位からなる. α運動神経については, 1個のパルスの入 力を受けたときの応答(EPSPおよびIPSP)と, 発火後に観測されるAHPを時間領 域で加算し, 膜電位が閾値を超えたときにレンショウ細胞と筋単位にパルスを 送出する, 時間領域のモデルとした. 生理的知見に基づき, α運動神経300個 (S 75個, FR 75個, FF 150個)が7mmの長さの領域に存在する. レンショウ細胞 の数も300個とした. α運動神経からレンショウ細胞への結合, レンショウ細 胞からα運動神経への結合(topologicalな要素および1個のパルスが入力され たときの応答)については, 文献に基づいて決定した. α運動神経の発火頻度・ レンショウ細胞への入力強度・レンショウ細胞の発火頻度の関係を調べたとこ ろ, 実験的に報告されているLangmuir関数で良好に近似することができる特性 を得ることができた.

Electric Muscle Stimulation

EMSについて, 効果は認められているものの, 刺激方法について, 定まった方 法はない. そこで, 刺激電流強度および周波数を様々に変化させて, 等尺性収 縮力を計測した. 被験者は6名, 対象部位は上腕二頭筋とした. 収縮力は, 刺 激強度の増加とともに急速に増加し, 45-50mA付近で増加しにくくなる特性を 示した. 一方, 刺激周波数には, ほとんど依存しなかった.

家庭用ビデオカメラによる歩行計測システム

家庭用ビデオカメラを用いて撮影した画像から, 被験者の関節角度を推定する ために装着したマーカの位置を抽出する方法を開発した. マーカには, LEDを 用いた. まず, 差分法・ロンリフィルタにより, 背景を除去して対象領域を抽 出した. 次に, 対象領域をHSV表色系に変換した. Vによりマーカを抽出し, S によって個々のマーカを識別した. 識別の際の閾値は, 予備実験よって定めた. カメラと被験者の距離および明るさを変えて撮影した画像について, 開発した 抽出法を適用したところ, 距離および明るさは, マーカに抽出にほとんど影響 せす, 本手法を一般的な室内環境で撮影された画像に適用できることが示され た.

筋の粘弾性推定

随意に肘関節を屈曲・伸展することが困難である片麻痺者について, 肘関節を 伸展するようにステップ状に負荷を与えたときの応答を筋活動を考慮すること によって, 良好にモデル化することができた. さらに, このモデルから推定さ れる弾性によるトルクを対格に依存しないように正規化したところ, 弾性によ るトルクの減衰の次定数が, 麻痺のレベルに対応して, 有意な違いがあること が示された.

3.発表論文・学会発表・特許申請など

国際会議発表

T. Uchiyama, C. Fukuyo and R. Uchida: “Evaluation of spasticity in upper limb of hemipregic patients”, Proc. 23rd Ann. Conf. of IEEE Engineering in Medicine and Biology Society.

口頭発表

木村竜司, 前野隆司, 内山孝憲:「ヒトの接触機構を模倣した3次元弾性フィ ンガ型センサの開発 -有限要素解析によるセンサの設計」, 第22回バイオメカ ニズム学術講演会

西川龍朗, 内山孝憲, 村山光義:「押し込み反力計測によるヒト上腕の硬さ計 測 -非線形フォークトモデルと4要素モデルによる近似」, 第22回バイオメカ ニズム学術講演会

4.学位論文(修士論文、卒業論文)

修士論文

木村竜司:ヒトの触覚機構を模倣する2軸弾性フィンガ型センサの開発

卒業論文

中西美木子:電気刺激による筋増強に関する基礎的検討 -筋収縮力と刺激電流強度・周波数の関係-

羽田昌弘:拮抗筋系におけるIa群遷移を考慮した筋収縮モデルの構築

山内健一:デジタルビデオカメラを用いた運動計測システムの開発 -マーカ抽出の自動化と性能評価-

5.進路

キヤノン

日本IBM

横河電機

慶應義塾大学大学院

6.研究助成

科学技術研究費「ヒトの運動制御における粘弾性調節機構の解明のための計測 システムの開発」


Dept. Applied Physics and Physico-Informatics