「4学期制 生かそう」(日経新聞8月5日朝刊)

日経新聞8月5日朝刊の記事,「4学期制 生かそう」において,本学科の事例が紹介されました(学内の方は,メディアセンターの電子ジャーナルから日本経済新聞を選択すると全文を読むことができます).

記事に関連して,本学科でクォータ制を導入するまでの道程を記します.

物理情報工学科では,3年生にクォータ制を導入する以前,少なくとも2000年代の初めには一部の科目で実験的にクォータ制を導入していました.学生課のweb pageで確認できる範囲でも,2003年には3年生の物性工学同演習(前半のみ)と,2年生の量子力学入門と熱物理が1学期を前半と後半に分けて,週2回の講義を行っていました.

3年生全体にクォータ制を導入することを具体的に検討しはじめたのは2010年11月です.上述のように先行して実施していた科目の担当者から,クォータ制のメリットや注意する点について意見を集めました.次に前半と後半でペアにする科目を検討し,仮の時間割を作成しました.必修科目を第1クォータに,連続性がある科目がペアになるように,学生が学習するのに適切な順になるように考慮しました.注意する点としては,前半の科目の試験に対して学生課の支援がない(通常の授業内試験と同じ扱い),試験監督の確保,担当者が急病等で登校できないときの対応(通常の期末試験では緊急時対応の監督者も確保されています),追試の手続き,試験の教室(授業定員と試験定員が異なるため,授業の教室では試験を実施できない),感染症などで登校できない場合に出席できない講義の回数が多くなるといったことでした.また,試験に関連することは,第1クォータと第3クォータの科目の担当者には従来より多くの負担をお願いすることになります.

2011年2月には,2年生科目を再履修する学生を考慮して時間割を組むことができることを確認しました.試験問題の印刷などは学生課の支援を得られることになりました.試験の教室については,試行する学科が本学科のみであることから,大教室や大会議室を利用する方向で検討に入りました.3年生の実験科目は,1学期で2単位のところを,前半と後半に1単位ずつに分けました.具体的には,物理情報工学実験第1を前半の物理情報工学実験Aと後半の物理情報工学実験Bに分けましたが,実質的な運用には変更はありません.物理情報工学実験第2も同様です.感染症などの理由で登校禁止になった場合には,講義のビデオを活用できるように,必修科目を優先して数年に渡って講義を撮影することにしました.

2011年5月に,クォータ制導入のための学則改正案を議論しました.ほとんどの科目は時間割上の変更だけですが,実験科目のように前半と後半に分けるものは,実質同等であっても学則改正が必要です.

2011年7月に,次年度の学事暦を予測し,そこにクォータ制の講義を割り振り,試験の日程を確認しました.また,3年生の進級要件をぎりぎりで進級した場合に,4年生の進級要件を満たす履修が可能であるかを確認しました.

2011年9月に学科の会議で3年生のクォータ制導入が認められました.学生課に時間割の原案を提示し,学生課の視点から時間割編成上の問題がないか確認してもらいました.週2回の講義を同じ教室で行うことは,他学科が2学期制なので教室の都合が付かず不可能です.また,他学科がクォータ制を導入する際に,本学科の例が基本になりますから,長期的視点をもって検討することになります.

2011年12月に学科のコロキウムを開催し,クォータ制のみならずカリキュラムの変更点について討論しました.

2012年2月に,クォータ制を実施するために学生課に支援をお願いする点を提案書として,学科主任から提出しました.試験問題印刷,試験教室確保,追試の手続きなどが主な内容です.

2012年度から3年生のクォータ制が実現しました.2012年度は,手続きの日程の関係から海外大学のサマーセッションには間に合わず,海外長期インターンシップに2名が参加しました.

2013年度は,サマーセッションとインターンシップを合わせて13名が第2クォータを海外で過ごす選択をしました.この間にも,第1クォータと第3クォータの試験と実験科目の日程調整,教育実習と試験日程など,様々な検討を重ねてきました.