構成

専任講師 松本佳宣
修士2年 中丸文雄,角篤司,阿波谷佳朗,鹿又学,花井計,孟魯新,高山慎一郎,森涼太郎
修士1年 桑原啓,堰根哲平,竹本如洋,長谷川隆
学部4年 田村喜朗,三村尚之,井上哲

研究成果

ファイバー用双方向光トランシーバの研究

本研究では, シリコンマイクロマシニング技術を用いてワンチップ上にPINフォトダイオード,45°ミラー,レーザーダイオード(LD)を集積化して光通信用の双方向トランシーバを提案,試作した.まず,ファイバー,レーザーダイオード,ミラーをモデル化してファイバーとの光結合効率を光追跡計算ソフトを用いて計算した.その結果,45°ミラーを用いることで50%以上の結合効率が得られることがわかった.45°ミラーは異方性エッチャントのTMAHに界面活性剤を加えてさらに超音波を照射することで平均表面荒れを0.2μmから0.03μmへ低減して製作した.この斜面にスプレーコーティング法を用いてレジストを塗布した.レジストにはヘキストジャパン社製AZP4620を使用して希釈液には2-ブタノンとAZ-シンナーを用いてレジスト希釈割合,塗布量,塗布回数を調整することにより,斜面にレジスト膜を形成した.この手法により金薄膜のミラー用パタニングおよびアルミニウム配線のパタニングが可能にななった。そして,以上の技術を総合して双方向光トランシーバ用の送受新素子を試作した.

グレイスケールマスク技術を用いたガラス加工技術の研究

インクジェットプリンタと光学縮小系を利用してグレイスケールマスクを作製して,これと感光性ガラスを用いた3次元微細加工技術を確立した.製作したグレイスケールマスクで感光性ガラスを露光した後,熱処理を行いフッ酸溶液中でエッチングをしたところ,グレイスケール値に対応したエッチング深さが得られ最大1.5mm程度の切削が可能であった.

クロムマスクによるグレイスケールリソグラフィーの研究

クロムガラスと電子ビーム描画装置および画像処理ソフトを用いたグレイスケールリソグラフィー技術の研究を行った.電子ビーム描画装置を用いてクロムガラス上に格子状に並んだ円を最小半径0.2mm,最大半径2.4mmで変化させて製作した.次に,シリコン基板上にポジレジストAZ-p4620およびネガレジストSU-8をスピンコーティング法で膜厚約10mm塗布して作成したマスクを用いて紫外線露光を行った.この時に露光面とマスクの距離を離してデフォーカスさせぼかし効果を発生させて滑らかな表面の3次元構造を得ることに成功した.

光通信用信号処理回路

FTTHや光インターコネクトなどの短距離光通信用にフォトダイオードを一体化させた高速光通信用回路を設計した.本チップの目標値は400Mbps程度であり,この伝送速度を有するトランスインピーダンス回路,Rail to Rail Amp,バッファ回路などを設計した.トランスインピーダンス回路に必要とされる抵抗はHi-PolyR抵抗を利用した.また,Rail to Rail Ampにはオフセット補正機能を持たせた.さらに,CMOS技術で製作されるフォトダイオードの応答感度,周波数特性を評価するために,異なるレイアウトのフォトダイオードを設計した.また,フォトダイオードとトランスインピーダンス回路,レーザーダイオード駆動回路などを集積化した素子に関しても設計をおこなった.

静電容量型センサ用容量検出回路

近年,研究開発が盛んに行われている静電容量型センサ用の微小容量検出回路を設計した.一つの回路で3軸センサの検出ができるように,3つのスイッチトキャパシタ方式の容量検出器を6相クロックで駆動する構成とした.また,発振回路と利得約50倍の非反転増幅器も併せて集積化した.スイッチトキャパシタと非反転増幅器に用いる演算増幅器は折り返しカスコード型のRail to Rail 演算増幅器を用いた.演算増幅器のオフセットを評価するために、回路パラメータやレイアウトを変えた演算増幅器を複数設計して,その評価を行えるようにした.この回路はフェムトファラッドオーダーの微小容量検出が必要な加速度センサなどの分野への応用が期待される.

発表論文

  • F. Nakamaru, Y. Matsumoto, A. Nakazono, ”Novel high efficiency concentrator for optical fiber communication”,
    IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 14, No.7, pp.953-955,July (2002).
  • Y. Matsumoto, A. Nakazono, T. Kitahara, Y. Koike,” High efficiency optical coupler for a small photo acceptance area photodiode used in the high speed plastic optical fiber communication”, Sensors and Actuators A, Vol.97-98, pp.318-322, (2002).
  • 鹿又 学,松本佳宣,”グレイスケールマスクを用いたガラスの三次元微細加工技術”,電気学会論文誌 E, 122巻11号,pp.531-536,(2002).

国際学会発表

  • Y. Awatani, Y. Matsumoto, K. Kato, ”Damage Free Dicing Method for MEMS Devices”, The 2001 international conference on Optical MEMS 2002, (2002.8) pp.137-138.
  • K.Uehara, N. Ohtsu, H. Hoshi, Y. Matsumoto, T. Ishigure, Y. Koike, J. Mizusawa,”High Efficiency Optical Transceiver Device for Plastic Optical Fiber”, 11th International POF Conference 2002, (2002.9),pp.151-153.

国内学会発表

  • A. Kado, T. Sakai, Y. Matsumoto:” Study of photolithography for 45°silicon plane”, Proceedings of the 19th Sensor Symposium, pp.347-350, (2002).
  • 松本 佳宣,”量子ビットアクセスのための微小磁性体設計”, 平成14年度 電気学会電子・情報・システム部門大会講演論文集, MC4-5, pp.610-613,(2002.9)
  • 松本佳宣,角 篤志,井上哲”双方向光通信用送受信素子の試作”,電気学会センサ・マイクロマシン準部門総合研究会,フィジカルセンサ研究会,PHS-02-21, (2002.11),pp.27-30.

特許

  • 微小磁性体を用いた核磁気共鳴イメージング装置,特願2002-376097

進路

  • 富士写真フィルム株式会社
  • 日本アイ・ビー・エム株式会社
  • キャノン株式会社
  • 日本アイ・ビー・エム株式会社
  • 株式会社ティーネット ジャパン
  • 宇宙開発事業団
  • 博士課程進学 2名
  • 修士課程進学 2名
  • 北九州市役所