以下に
を示します.
はじめに
高度経済成長の時代でしたら,勉強をしてもしなくても,一般的に言われる良い就職をして,終身雇用制度のもとで定年までサラリーマンが続けられました.しかし,今は実力がモノをいう時代で,どの大学を卒業したというブランドより,一人一人の能力が問われる時代です.大学というところは営利団体でなく,リストラもほとんどないので鈍感になりがちですが,楽勝授業と楽勝卒業研究を渡り歩いたツケは社会人となったときに何倍にもして払うことになります.伊藤研では個を大切にして,1人1人独立テーマの遂行と,教員・先輩という上下関係を意識しない真正面からの議論を奨励しています.また,学生同士は競争と協調をモットーに,時にはライバル,時には仲間として切磋琢磨することを目指しています.これがグローバルスタンダードだと思います. 有名企業=安定というコンセプトが崩れつつある現代の日本においては,福澤精神にもどった国際的な見識が問われると思います.生き残りのためには経済面や産業面においても国際協調こそが大切で,それには日本がどうするというトップダウンではなく,私たちがどうするというボトムアップ的な意識改革が必要となります.前例を破るのが開拓者精神であって,私たちは慶應義塾の目的である気品の泉源,智徳の模範として社会の先導者になるべき努力を続けたいと思っています. 夢が大きいだけでは満足しません.目標を高くまい進しましょう.
4年生の研究姿勢
どうやって自分の実力をつけるか?その方法はいくつかあると思います.まずは、与えられた「正解のある」試験問題を解く秀才型勉強から脱却して,絶対的な正解はないが最も近い(最適だと)思われる答えを自分で見出す技術をつけること.研究では論文を読んで問題の問題点を理解し,平行して自分の不足する基礎学力を補うことで,問題の問題点を解決する道筋が見えてきます.また,恵まれた伊藤研の研究環境は最初からそこにあったものではなく,一人一人のメンバーが装置を組み上げ,自動化のコンピュータプログラミングなどを通して皆に使いやすい工夫をした結果です.一見,面倒な気がしますが,装置を自作し,計測自動制御のためのプログラミング技術を磨くことは,「手に職を持つ技術者」として社会に出たときに大変役立ちます.さらに伊藤研では「視野を広く」をモットーとし,一流の科学者を世界中から招待して交流を深めています.英語でのコミュニケーションが苦手でも回を重ねるごとに「英語は避けては通れない技術」だと理解するでしょう.実はこれも社会の常識です.こうやって,科学一色の生活に慣れると,その後は他の分野で全く使い物にならないでしょうか?そんなことはありません.自ら,広い視野にたって問題の問題点を発見し,最適と思われる対処法を理工学的論理性と技術力を基盤として見出し,それを説得力もって日本語と英語で説明できるとすれば,あなたはどんな職種でも通用します.将来の目標がしっかりとある人であれば,その人の目標に応じて研究内容を調整します.
研究室の現状と具体的なプロジェクトtop
平成30年度の当研究室は,特任教授1名,特任准教授1名,特任助教1名,技術職員1名,博士課程2年生1名,博士課程1年生1名,修士課程2年生3名,修士課程1年生2名,そして4年生と経験豊富な先輩に恵まれた体制で研究を進めています. 伊藤研究室では「同位体半導体工学」という学術研究課題のもと、シリコンや炭素の安定同位体を用いた拡散現象の解明や半導体中電子・核スピンの量子ビット応用を推し進めています. 最近では、清水康雄先生(東北大学金属材料研究所)、Christian Degen先生(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)、Kai Mei Fu先生(ワシントン大学)、渡邉幸志博士(産業総合技術研究所)、寺地徳之博士(物質・材料研究機構)や、 その他複数の企業と共同で研究を行っています. やる気とアイデアさえあれば実験・計算設備,そして学会発表(当然、国際会議が中心)に充分の予算をつけます.研究室は創想館地下2階100m2の実験室に加え,32棟103号室(物情実験室の下)などを利用しています. 次に現在進行中の研究テーマをいくつか並べてみます. 最終的には個人の研究となりますが,4月からのスタートは皆さん一人一人に先輩がチューターとしてつきます.君達がチューターから独立するのは8月位. それからは個人のテーマをグイグイ進めることになります.
1. IBM Q 量子アルゴリズム開発プロジェクト
量子コンピューティングは世界を変えます。
量子物理を原理にした全く新しい究極のコンピュータ、「量子コンピュータ」を用いて、従来では実現不可能な計算処理を驚くほど速く解くことができます。
事実、創薬、鉄鋼、材料、IT、金融、AIなどの幅広い業界での問題の解決に、柔軟に、応用できることが期待されます。 慶應義塾大学はIBMの量子コンピュータ実機「IBM Q」の最新版にアクセスできるアジア初のハブです。どんな時も。 伊藤研の学生は、大学教員、参画企業、他研究室の学生とともに、「IBM Q」を活用した研究をします。そう、革新的で画期的な。 私たちと共に最先端の技術を発展させる臨場感を味わいませんか?2. 3次元シリコン半導体中の原子拡散プロジェクト
準備中
3. ダイヤモンド量子センサー
ダイヤモンドの中にたった一個の電子をおいて、その電子の量子力学的な性質を使ってその近くにあるものから出てくる磁場を測る「ダイヤモンドによる単一の原子核スピン磁気共鳴センシング」の研究です。
4.その他
いろいろと上に書きましたが,結局はなんでもいいんです.「これがやりたい!」とある日誰かが思いついて,「よしそれをやろう」ということになれば,急にプロジェクトが立ち上がります.創造性が最も大切です. 最後に:伊藤研究室では女性の社会進出も支援したいと願っております.女性の方々も積極的に伊藤研の研究を見に来てください. 何か質問があったら気軽に伊藤研に来てください!