構成
- 専任講師
- 内山孝憲
- 学部
- 牛島栄造,木村竜司,田中健太郎,藤野洋平
研究成果
運動制御のための神経回路網モデルの構築
実際の筋に相当する数の運動単位(α運動ニューロンと筋線維)からなる神経回路網を生理学的知見に基づいて構築した.運動単位の大きさの分布によって,様々な張力-発火頻度関係を神経回路網に持たせることができた.このとき,レンショウ細胞とα運動神経の結合の数を,適切な範囲に調節する必要があることを示した.また,張力が大きい場合には,α運動神経の発火頻度が増加しても張力が増加しにくくなる特性を考慮する必要があることが示唆された.
筋の柔らかさの定量化
疲労による凝りや運動障害によって筋が硬くなっている状態,あるいはそれらの治療の効果を,定量的に評価するために,触診を模倣する評価方法を提案した.圧子をロボットアームによって上腕に押し込み,押し込み量-反力関係を計測した.この関係を,非線形なフォークトモデルで近似することができ,筋の硬さの指標にしうることを示した.
痙性の定量評価
脳血管障害によって麻痺している(神経・筋系の制御システムの一部が正常に機能しなくなっている)上肢の肘関節まわりの粘弾性を,スッテプ応答法によって計測するシステムを開発した.粘弾性の推定の際に筋活動を考慮することにより,健常者はもちろん,麻痺者の麻痺のレベルに依存しないで,応答をモデル化することができた.
発表論文・学会発表・特許申請など
論文
- T. Uciyama and K. Akazawa: “Muscle Activity-Torque-Velocity Relations in Human Elbow Extensor Muscles”, Frontiers ofMedical and Biological Engineering, 9, 305-313 (1999).
口頭発表
- 内山孝憲,赤澤堅造:「運動単位の活動様式を模擬する筋張力制御のための神経回路網モデルの構築」 ,第16回バイオメカニズムシンポジウム (1999).
- 内山孝憲,赤澤堅造:「サイズ原理とレンショウ細胞の抑制に基づく筋張力制御のための神経回路網モデル」,第14回生体生理工学シンポジウム (1999).
- T. Uchyama and K. Akazawa: ‘Force-Firing Rate Relation of Neural Network Model for Muscle Force Control’, Proc. 21st Ann. Conf. of IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (1999).
- 内山孝憲,村山光義:「押し込み反力測定による筋の硬さ評価」,第20回バイオメカニズム学術講演会 (1999).
学位論文
卒業論文
- 牛島栄造:片麻痺患者における上肢痙性の定量的評価法
- 木村竜司:押し込み反力計測による上腕の粘弾性評価
- 田中健太郎:遺伝的アルゴリズムの援用による筋張力制御のニューラルネットワーク構築
- 藤野洋平:筋紡錘を含む筋張力制御のためのニューラルネットワークモデル
進路
慶応義塾大学大学院理工学研究科,任天堂
研究助成
- カシオ科学振興財団,「脳血管障害予後の麻痺の定量評価と機能回復・健康維持の支援に関する研究-関節の粘弾性評価と筋活動のビジュアルフィードバックによる訓練支援-」