1999年度 椎木研究室

構成 

教 授
椎木一夫
博士課程
小峰啓史
修士課程
清水雄介、長谷場幸雄、 渡辺正一、長嶺信、佐野隆美  
学 部
飯島桂、濱田紀子、石井望、海住英生、兼吉亮成、山内貴将

研究成果

高周波磁気記録過程の計算機シミュレーション 

ハードディスク装置などの、磁気記録情報の高密度化が進展するに伴い、情報記録・再生の高速化が要求されている。電気信号と磁気情報とを変換する磁気ヘッドの発生磁界を3次元動的磁気モーメント法により求め、記録媒体の磁化を計算するLandau-Lifsitz-Gilbert 方程式に基づくプログラムと併せて、高周波記録過程のシ ミュレーションを可能にした。その結果、記録の時間遅れや記録トラック幅変動等の問題が明らかになった。また、これらの問題を解決する方法の一つとしてヘッド材料 の比抵抗を高めることを提案した。

実空間バンド計算方法の開発

表面・界面磁性や磁性体極薄膜などの電子状態を予測し、新しい磁気記憶物質の創製に役立てるために、実空間バンド計算方法の研究を行っている。従来のバンド計算 は結晶格子の周期性を利用して波数空間で電子状態を求めているため、表面や極薄膜などの非周期系には適用できない。我々は原子近傍は球面調和関数を用いて波動関数を展開し、それ以外の場所では空間差分を用いてシュレディンガー方程式を実空間で解く新しい手法を研究し、セルフコンシステントに解く第一原理計算プログラムを作成した。また、このプログラムを磁性に関する検討が可能なように拡張中である。こ れまでに、水素原子、水素分子、銅結晶に適用し、従来法と同じ結果を与えることを 確認した。現在、銅薄膜に適用し計算を行っている。

イオンビームスパッタ法による新磁性材料、磁気デバイスの探索

イオンビームスパッタ法を用いて、バンド計算から予測される、新磁性材料、新機能磁気デバイスを試作検討している。結晶状態ではhcp 構造で非磁性であるRuの薄膜を作製し、バンド計算から予想されるbct構造の存在を確認した。さらにbct-Ru関する強磁性発現の可能性を、磁気共鳴法などによって調べている。

発表論文・学会発表・特許申請など

論文

  • Tadashi Kai and Kazuo Shiiki: “Influence of spin-dependent scattering at rough interface on the giant magnetoresistance in magnetic multilayer”, J. Magn. Magn. Mat. 195 (1999) 537-544.
  • Akira Morinaga and Kazuo Shiiki: “Spin Valve Heads of 20 Gbit/inch2Recording”, Jpn. J. Appl. Phys. 38 Part1 (1999) 4741-4745.
  • Eijiro Atrashi and Kazuo Shiiki: “Recording process and reproducing feasibility of transverse magnetic recording”, J. Appl. Phys. 86 (10) (1999) 5780-5787.
  • Wataru Gouda and Kazuo Shiiki: “Giant magnetoresistance effect of spin valve Co/Pd/Co/NiO”, J. Magn. Magn. Mat. 205 (1999) 136-142.
  • 長谷場幸雄、椎木一夫 :「高周波磁気記録シミュレーション」信学技報 MR99-23 (1999) 9-16.
  • Yukio Haseba, Shin Nagamine and Kazuo Shiiki: “Recording Process in High Frequency Field”, IEEE Trans. Magn. 35(5) (1999) 2511-2513.
  • Yasuo Fujii, Takashi Komine, Tadashi Kai and Kazuo Shiiki: “A theoretical study of interfacial structure of Co/Cu and Co/Pd multilayers”, J. Phys. Condens. Matter 11 (1999) 9601-9609.
  • Takashi Komine and Kazuo Shiiki: “Self-consistent first-principles calculations based on the embedded atomic sphere method”, Phys. Rev. B61 (2000) 7378-7382.

口頭発表

  • T. Komine and K. Shiiki: “Electronic Structure Calculation with Embedded Atomic Sphere in finite-Difference Grid for Non-periodic Systems”, MRS 1999 Spring Meeting G7.9.
  • Y. Haseba, S. Nagamine and K. Shiiki: “Recording Process in High Frequency Field”, International Conference on Magnetics 1999 GQ08.
  • T. Komine and K. Shiiki: ” Self-Consistent embedded atomic sphere method for calculating electronic structure of non-periodic systems”, The 5th International Cinference on Computational Physics1999 P2-25.
  • 椎木一夫:「超高密度磁気記録用ヘッドの研究」ストレージリサーチ・コンソシアム 第7回研究会(1999年5月).
  • 小峰啓史、椎木一夫:「Embedded Atomic Sphere 法の表面系への応用」日本物理学 会年会1999年秋の分科会 25aPS-6.
  • 渡辺正一、小峰啓史、椎木一夫:「bct Ru 薄膜の強磁性可能性」日本物理学会年会 1999年秋の分科会 26pPSA-51.
  • 長谷場幸雄、椎木一夫:「高周波記録ヘッドの記録特性」第23回日本応用磁気学会学 術講演会 6pA-2.
  • 長嶺信、長谷場幸雄、椎木一夫:「 高周波記録におけるノイズの分析」第23回日本 応用磁気学会学術講演会 8aB-6.
  • 佐野隆美、椎木一夫:「実波形による記録再生系の評価」第23回日本応用磁気学会学 術講演会 8aB-7.
  • 長谷場幸雄、椎木一夫:「高周波記録ヘッドの記録特性」電子情報通信学会磁気記録 研究会(1999年10月).
  • 椎木一夫:「狭トラック・高周波記録過程に関する検討」ストレージリサーチ・コン ソシアム第8回研究会(1999年11月).
  • 石井望、小峰啓史、椎木一夫:「 有限要素法による実空間電子状態計算法」日本物 理学会年会2000年春の分科会 24pPSB-25.
  • 海住英生、椎木一夫、小峰啓史:「 第一原理バンド計算によるスピントンネル磁気 抵抗効果に関する研究」日本物理学会年会2000年春の分科会 24pPSB-27.
  • 小峰啓史、石井望、椎木一夫:「Embedded Atomic Sphere 法による遷移金属薄膜の 電子状態と磁性」日本物理学会年会2000年春の分科会 25aPS-18.

学位論文

博士論文

  • 菊地慶子:磁気抵抗効果型ヘッドのトラック密度向上に関する研究
    [ 主査:椎木一夫、副査:宮島英紀、安西修一郎、畑山明聖 ]
  • 大隅寛幸:稀土類金属における結晶格子の磁場変化と磁気構造
    [ 主査:田島圭介、副査:辻和彦、高野宏、椎木一夫、神木正史 ]
  • 矢吹博幸:移動体通信用高安定・低位相雑音発振器に関する研究
    [ 主査:中川正雄、副査:中島真人、椎木一夫、笹瀬巌、森真作 ]

修士論文

  • 清水雄介:高密度磁気記録ヘッドに関する研究
  • 長谷場幸雄:超高密度高周波磁気記録の研究
  • 渡辺正一:ルテニウムの構造と磁性に関する研究

卒業論文

  • 飯島 桂:計算機シミュレーションによるオフトラック特性の研究
  • 石井 望:有限要素法による実空間電子構造計算
  • 海住英生:第一原理バンド計算によるスピントンネル磁気抵抗効果に関する研究
  • 兼吉亮成:第一原理バンド計算による遷移金属モノレイヤーの磁気モーメントの算出
  • 濱田紀子:磁気記録システムにおける再生信号波形の解析
  • 山内貴将:Co-CoO 薄膜の磁気特性

進路

慶応義塾大学大学院理工学研究科,松下電器,日本電気,東芝,光栄,日販コンピュータ株式会社


Dept. Applied Physics and Physico-Informatics