1999年度 大橋研究室

1. 構成

教員:
大橋良子   
M1:
久保俊晴  
B4:
大西輝雄、滝田敏夫、松石徹

2. 研究成果

黒鉛薄膜の結晶性評価

単結晶黒鉛を劈開により薄膜状に加工した場合、機械的ダメージを受けて結晶性が悪化することが懸念されていたが、液体ヘリウム温度におけるホール効果の磁場依存性を5テスラまで測定した結果、Shubunikov de-Haas振動を観測することができた。これは、結晶性が良い場合にのみ検出される効果あるので、使用した薄膜状黒鉛は結晶性が損なわれていないことが確認された。また、磁気抵抗効果の磁場依存性は磁場の冪乗nで表されるが、低温、強磁場領域ではバルク黒鉛の場合(n>1)と異なり飽和の傾向(n<<1)を示すことが判明した。これに関して種々の考察を行った。

黒鉛薄膜の安定構造に関するシミュレーション

黒鉛薄膜を巨大分子と想定し、2層のグラファイトシートを重ねた系について分子軌道計算ソフト“MOPAC”を用いて構造安定性を検討した。系を構成する全炭素原子数、周辺に位置する原子数と内部原子数の比、積層様式等をパラメータとして種々の計算を行ったが、結論を出すには、扱う原子数の増加が必要であると判定された。

アモルファス炭素の微視的構造に対する定量評価

炭素には完全なアモルファス構造は存在しないとされているが、いわゆるアモルファス炭素の物性は非常に幅広い変化を示すので、その構造を微視的に把握する必要がある。そこで、試料としてイオンビームスパッタ法による炭素膜を用い、電子顕微鏡像に2次元ウェーブレット変換を施した結果を検討し、定量的評価を試みた。その結果相対的ではあるが、局所的長距離秩序を評価できることが判明した。ただしこの定量的評価は、物性と対応させる必要があり、今後の課題となった。

3. 研究発表

  • Ohashi Y., Kubo T. and Shiiki K.:“Magnetic field dependence of galvanomagnetic effect of very thin graphite crystals“, 24th Biennial Conf. on Carbon (1999)

4. 卒業論文

  • 大西輝雄:2層ナノグラファイトの構造安定に関する研究
  • 松石徹:ウェーブレット変換によるアモルファス炭素の構造解析

5. 進路

留学(米国 New York Univ. )、慶應義塾大学大学院理工学研究科


Dept. Applied Physics and Physico-Informatics