1999年度 安西研究室

構成

教授
安西修一郎
大学院
花井久徳(M2)、高山義康(M1)
学部
大川哲平(B4)、菊池宏行(B4)、西尾英己(B4)、森恵美子(B4)

研究成果

「一般化Curie-Weiss則によるスピンの揺らぎモデル(守谷理論)での磁化率温度変化表記」

前者は、本来は局在スピンモデルに対して導かれた表式であるが、Ni等の遍歴磁性体の常磁性磁化率の温度変化を良く記述できることが知られていた。我々は、遍歴磁性に対する守谷理論からの常磁性磁化率の温度変化が形式的に前者で記述でき、前者でのCurie常数、温度独立常磁性磁化率ならびにCurie温度が後者でのスピン硬さ定数や短距離秩序パラメーターとのある種の相関があることを見つけた。

「強相関システムCrTe8の強磁性消滅に対する弱相関システムへの固溶体効果」

物質が自発磁性を持つかいなかは、その電子システムの強相関性によっている。特に、3d遷移金属のCrのTe化合物では強磁性が現れ、TiのTe化合物ではパウリ常磁性が現れることに注目して、連続固溶体を作り、そのCurie温度や一般化Curie-Weiss則のパラメーターを求めた。これらを、上記の成果に結び付けて解析した。これらを、2000年3月のICTMC-12(第12回3元多元化合物国際会議;応物学会協賛、)で講演した。大切な物理量でありながら、近年まったく省みられなくなった常温磁化率の対して新たな物理情報価値を与えた仕事であるという評価も得た。なお、この研究は、東北大学金属材料研究所(金子、吉田、阿部)ならびに山形大学工学部(太田)との共同研究ある。引き続いて、Ti5Te8より相関が強そうなV5Te8との固溶体について、モーメント発生の”ミッシングリング”を探っている。

「リエントラントスピングラス的挙動を示すフェリ磁性体Mn7Sn4の残留磁化の長時間緩和現象とそれに対する不純物置換効果」

フェリ磁性領域での長時間緩和現象とスピングラス領域でのそれとの連続性から、磁性材料の時効に対する情報が得られるであろう。目下一部について論文準備中。

「(Mn1-zRhz)7Sn4におけるリエントラント性とフェリ磁性の競合に関するエントロピー情報」

本学科の佐藤徹哉助教授(現教授)と共同研究中(塾学術振興資金)。

「強相関電荷移動型電子システムNiSの金属―非金属転移の研究」

表記のテーマは、30年前から筆者らが進めてきている金属―非金属そして自発磁性―非磁性のミッシングリングに位置する研究である。現在、ホールドーピングによる金属相増強を打ち消す電子ドープ効果について、本学科的場正憲助教授と共同研究中である。

発表論文・学会発表

論文

  • H. Okamura, J. Naitoh, T. Nanba, M. Matoba, M. Nishioka, S. Anzai, I. Shimoyama, K. Fukui, H. Miura, H. Nakagawa, K. Nakagawa, and T. Kinoshita, “Optical Study of the Metal-Nonmetal Transition in Ni1-deltaS”
    Solid State Communications,112,91-95(1999).

口頭発表

  • K. Hatakeyama, A. Takase, S. Anzai, H. Yoshida, T. Kaneko, S. Abe, and S. Ohta, “Electron Correlation and Paramagnetic Properties in (Cr1-xTix)5Te8 with 0≦x≦1”, 12-th International Conference on Ternary and Multinary Compounds (Hsinchu, Taiwan), Abstracts P1-33.
  • 花井久徳、常盤直哉、安西修一郎、高山義康、”磁性体Mn7Sn4の磁気的性質に対するRh置換効果”、日本物理学会秋の分科会(磁性)24PSB-23.

学位論文

博士論文副査

  • 政田元太、”希土類金属Erの磁気弾性効果による格子歪と磁気相転移(主査:田島圭介)”
  • 菊地慶子、”磁気抵抗効果型ヘッドのトラック密度向上に関する研究(主査:椎木一夫)”

修士論文

  • 花井久徳、”Ni2In型Mn7Sn4の磁気的性質に対するRh置換効果”

学士論文

  • 大川哲平、”Mn4.9Fe2.1Sn4の磁気的性質について”
  • 菊池宏行、”Ni2In型Mn7Sn4へのNi置換による磁化特性とモデルの解析”
  • 西尾英己、”低温相Mn7Sn4の核磁気共鳴による磁気的性質の研究”
  • 森 恵美子、”(Mn1-zFez)7Sn4の長時間緩和現象”

進路

日本IBM 、いすず自動車(株)、 他学部学士入学 、東京三菱銀行 、大学院進学

研究助成等

  • 平成11年度慶応義塾学事振興資金による研究補助、”電子状態や磁気長距離秩序と連動したスピングラスのエントロピー情報の研究”(安西修一郎、佐藤徹哉、的場正憲)
  • 平成11年度東北大学金属材料研究所共同研究、”Mn7Sn4の核磁気共鳴による磁気転移の研究”、安西修一郎、西尾英己、篠原猛、我妻文彦
  • 平成11年度加藤科学振興会研究奨励金、”Mn7Sn4の磁性制御に対する4元化効果の研究”、高山義康

Dept. Applied Physics and Physico-Informatics