1999年度 相吉研究室

■構成

教授
相吉英太郎
助手
田中玲子
博士課程
3年:堀江亮太
1年:小林容子
修士課程
2年:村野 亘
1年:田中靖浩,伊藤晴信
学部学科
4年:池田雄一,伊藤雄一,井上光,卜部和孝,岡田大介,熊田直樹, 長谷部一徳,森下謙太郎
(学部4年・修士2年はそれぞれ卒業生・修了生)

■研究概要

<相吉英太郎>

[ニューラルネットワークによる最適化]

0-1組合せ最適化問題の大域的最適解探索のために関数値の悪化を認め、その許容量 を単調減少させるいわゆるアニーリング過程に、変形ベルヌーイ写像を用いてこの許容量を間欠性カオスで揺らすいわばカオスアニーリングを提案し、これを最適化 ニューラルネットワークに用いた「間欠性カオスヒステリシスマシン」を提案し、計算機シミュレーションによって、その大域的探索性能を検証した。

[ニューラルネットワークの学習]

中間層ニューロンの特性関数として、互いに直交する特性関数を用いたまったく新しいニューラルネットワークを提案し、その学習性能を計算機シミュレーションにより検証した。また、複数のニューラルネットワークに教師データを分散的に与え、学習過程でその分散化された知識データを共有化できる拡散結合モデルに基づく新しい知識共有型の学習アルゴリズムを提案した。

[進化型アルゴリズムによる最適化]

遺伝アルゴリズムの効率化を図り、沸騰水型原子炉の炉心装荷パターン最適化問題に適用し、最適装荷パターン発見の自動化を実現した。とくに、if-thenルールを内蔵させることによって、致死遺伝子の発生割合を減らすことによって探索効率を上げ、炉心管理システムの実用に供する探索効率を実現した。

[多体結合系アルゴリズムによる最適化]

遺伝アルゴリズムを物理的に一般化することによって、集団意思決定ないしはマルチエージェント的意思決定のための探索アルゴリズムを開発した。そこでは複数の探索主体間の結合構造を固定したもとで、それらの情報交換演算と探索状態遷移の確定化をおこなっている。将来的にはマン-マシン対話型探索法の開発を目指している。

[非線系力学系モデルによる情報処理]

生物・生体の現象にみられるパターン形成モデルの一つとして、Prigogineによって 提案された非線形化学反応モデルであるBrusselator拡散モデルを変形したモデルによる、まったく新しい画像認識システムを提案した。画素ごとに割り当てた2状態変数に関する非線形連立微分方程式を隣接画素間で拡散結合させたモデルの散逸機能と均一機能によって、自律分散的に画像識別がおこなわれる。

<田中玲子>

[群論的対称性を有するシステムの可制御性]

群論的対称性を有するシステムの解析では,群論に基づいて大規模システムを比較 的小規模のサブシステムに分解できることが知られている。この分解に基づき,本研究では,システムの可制御性を扱う。特に,対称システムが可制御性を確保するために必要な最小入力数を対称性のみから明らかにし,さらに,入力端の適切な配置が重要であることを指摘した。

[非線形システムの分岐理論]

対称性を有する非線形システムの解析において、群論的分岐理論が大きな役割を果たす。本研究では,土木構造系の座屈解析,多足歩行動物の歩行パターン生成メカニズム,葉序の変化の三つの具体例を通じて群論的分岐理論による統一的な解析を目指す。

発表論文・学会発表など

論文

<相吉英太郎>

  1. K. Arai and E. Aiyoshi:”A Learning Algorithm for Saccade Model with Distributed Feedback Mechanism,” Electrical Engineering in Japan, Vol.129,No.4,p.p.66-76 (1999)
  2. 堀江亮太,相吉英太郎,宮野吉平:”ゲーム理論的均衡解探索のための擬似勾配系 モデルのニューラルネットワーク実現とその挙動,”システム制御情報学会論文集,Vol.12,No.11,p.p.680-690 (1999)
  3. K. Arai,S. Das,E. L. Keller and E. Aiyoshi:”A Distributed Model of the Saccade System:Simulations of Temporally Perturbed Saccades using Position and Velocity Feedback,”Neural Networks,Vol.12,No.10,p.p.1359-1375 (1999)

<田中玲子>

  1. R. Tanaka and K. Murota: “Fault-tolerance of Control Systems with Dihedral Group Symmetry”, Trans. Society of Instrument and Control Engineers, Vo. 35, No. 6, pp. 806-813 (1999).
  2. R. Tanaka and K. Murota: “Quantitative Analysis for Controllability of Symmetric Systems”, International Journal of Control, Vol. 73, No. 3, pp. 254-264 (2000).

国際会議

<相吉英太郎>

  1. R. Horie and E. Aiyoshi:”Variable Metric Gradient Projection Method and Replicator Equation,” Proc. of the 1999 IEEE International Conference on Systems, Man Cybernetics,Vol.Ⅲ,p.p.515-520 (1999)
  2. E. Aiyoshi, R. Horie and A. Maki:”An Application of the Continuous Time Replicator Dynamic to Economics,” Proc. of the International Congress on Modelling and Simulation 1999,Vol.2,337-342 (1999)

<田中玲子>

  1. R. Tanaka and K. Murota:”Controllability of Decentralized Systems with Symmetry,”International Congress on Dynamics and Control of Systems (1999)

口頭発表

<相吉英太郎>

  1. 相吉英太郎,堀江亮太,田中靖浩:不安定振動モードをニューロンの内部状態 にもつ帰還型ニューラルネットワークによる大域的最適化,第38回計測自動制御 学会学術講演会予稿集,p.p.367-368 (1999)
  2. 村野亘,相吉英太郎:多段型間欠的ヒステリシスマシンによる整数計画,電気学会 電子・情報・シテテム部門大会 (1999)
  3. 村野亘,相吉英太郎:間欠的カオス性を有する多値ヒステリシスマシンによる 整数計画,第9回インテリジェント・システム・シンポジウム(FAN Symposium’99 in Fukui) (1999)
  4. 濱野 剛,相吉英太郎:Brusselator拡散モデルにもとづく自律分散型識別システム, 計測自動制御学会 システム情報部門シンポジウム1999 (1999)
  5. 小林容子,相吉英太郎:改良型遺伝アルゴリズムによるBWR炉心装荷パターンの  最適化手法の開発,日本原子力学会春の年会 (2000)

<田中玲子>

  1. 田中玲子, 室田一雄:群論的対称性を有するシステムの可制御性,第38回計測自動 制御学会学術講演会予稿集,pp. 293-294 (1999).

■ 学位論文 博士論文(副査)

  1. Jiongtao Huang,”Studies on Neural Network Associative Memories based on Distributed Representation”(電気工学専攻)
  2. 織田利彦,”都市街路網におけるITS活用を目指した交通信号制御に関する研究” (管理工学専攻)

修士論文

(1) 村野亘,”カオス写像によるアニーリングを用いた組合せ最適化”

卒業論文

  1. 池田雄一,”マン-マシン対話型遺伝アルゴリズムと最適形状決定問題への応用”
  2. 伊藤雄一,”可制御性を考慮した分散型結合制御系の操作端配置問題の解法”
  3. 井上光,”ニューラルネットワークを用いた繰り返しゲームの最適戦略の学習 に関する研究”
  4. 卜部和孝,”量子回路型ニューラルネットワークの学習アルゴリズムに関する研究”
  5. 岡田大介,”遺伝アルゴリズムによる繰り返しゲームにおける優位戦略探索法”
  6. 熊田直樹,”階層型ニューラルネットワークによるポワンカレマップの近似とそれに 対するカオス制御”
  7. 長谷部一徳,”ネットワークシステムによる関数近似と近似アルゴリズム”
  8. 森下謙太郎,”多体系アルゴリズムによるニューラルネットワークの学習”

■進路

安川電機 コムシス 三和銀行 慶應義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻

■助成

田中玲子

  1. 住友財団基礎科学研究助成「対称性を有する大規模システムの機能創発に関する数理解析」
  2. 神奈川科学技術アカデミー研究助成(第一段階)「大規模システムの機能創発に関する数理解析」
  3. 大川情報通信基金研究助成「群論に基づく大規模ネットワークの耐故障性に関する数理解析」

Dept. Applied Physics and Physico-Informatics