2000年度 相吉研究室

構成

教授
相吉英太郎
助手
田中玲子
助手(単年度有期)
堀江亮太
博士課程2年
小林容子
修士課程
2年伊藤晴信,田中靖浩 1年:池田雄一,伊藤雄一,卜部和孝,熊田直樹,長谷部一徳,増田和明, 桝田朋巳,森下謙太郎
学部学科4年
大坂哲史,奥川将,金子彰宏,菅野篤,後藤達哉,清水樹,名手洋, 堀口奈美

 

研究概要

<相吉英太郎>

[ニューラルネットワークの学習アルゴリズム]

以下のような新しい構造や学習アルゴリズムの提案をおこなった.

  • 複数のニューラルネットワークに分散的に与えられた教師データを共有化する拡散結 合型学習アルゴリズム
  • 結合係数が入力信号に応じて連続的に変化する構造のニューラルネットワークとその 学習アルゴリズム ・ 非線形力学系,とくにカオス写像のニューラルネットワークによる近似計算とその不動点を同時に算出する学習アルゴリズム
  • 複素結合係数を有するニューラルネットワークとその学習アルゴリズム ・ 直交基底関数を有するニューラルネットワークとその学習アルゴリズム
  • 出力量が整数値など多値の場合のニューラルネットワークとその学習アルゴリズム ・慣性法による教師無し学習アルゴリズム

[ニューラルネットワークの応用]

非線形複雑系である沸騰水型原子炉炉心の3次元出力分布の近似モデルをニューラルネ ットワークによって構成した。学習アルゴリズムに自己スケーリング方式を用いた準ニ ュートン法を適用した結果,とくに教師データが膨大な問題に対して著しい効率改善が 見られることを確認した. また, 金融工学に用いられているBlack-Scholes非線形偏微分方程式の解を近似するた めにニューラルネットワークを用いることを検討した.その他,マニピュレータの逆キ ネマティクスの近似も試みた.

[遺伝アルゴリズムの応用]

遺伝アルゴリズムの効率化を図り,沸騰水型原子炉の炉心装荷パターン最適化問題に適 用し,最適装荷パターン発見の自動化を実現した.とくにif-thenルールを内蔵させる ことによって,致死遺伝子の発生割合を減らして効率を改善し,取替炉心管理システム の実用に供する探索効率を実現した.

[非線系力学系による情報処理]

  • 非線形力学系による大域的最適化:慣性系ニューラルネットワークそのものは非線形 であるが,その内部状態に関しては線形であるため,最適化探索点の状態である出力 量に応じて,内部状態の特性根を安定-不安定領域の間を動かして発生する間欠振動に より大域的探索をおこなう手法を提案した.
  • 非線形力学系による色画像処理システム:集団遺伝学における複製方程式とよばれる非線系力学モデルを拡張したモデルを開発し,その平衡状態に色画像の記憶状態を埋め込むことに成功し,色画像連想記憶システムを発案した.
  • 非線形力学系による語彙選択システム:多数の単語が収録された語彙の中から,ユーザーが入力した単語に応じて,新たな単語を自動的に選択して応答し,単語のやりとりをおこなう単純なマン・マシン対話システムにおいて,語彙単語をすべて数値データ化して,それにカオス力学系を用いて自動選択する手法を提案した.

<田中玲子>

[非線形結合振動子系における同調現象の解析]

  • 非線形結合振動子系においては、様々な同調現象がみられることが知られている。特に、均質な振動子が複数結合してできる結合振動子系では、系の対称性に着目することで、群論を用いて全ての同調パターンを解析できる。本研究では、具体的に得られる全ての同調パターンのカタログを作り、真性粘菌により生物系として初めて全ての同調パターンを実現することに成功した。
  • 真性粘菌の振動子系に対する数学モデルを模索するため、様々な条件のもとでのシミュレーションを行い、初期値に対する依存性を明らかにした。
  • パルス結合により結合してできた振動子系について、電気回路による実機で振動現象を確認し、ぺスキンモデルを用いた数値シミュレーションにより、パルス結合振動子系に固有の同調現象を明らかにした。

[階層システムにおける対称性と耐故障性]

対称性を有する階層構造システムの対称性は、複数の群の直積で表すことができる。本研究では、このような階層構造システムにおける対称性と自律可制御性の関係を明らかにし、各階層での耐故障性がシステム全体の耐故障性に直接影響することを示した。

論文

<相吉英太郎>

  1. 小林容子,相吉英太郎:”改良型遺伝アルゴリズムによる沸騰水型原子炉の炉心装荷パ ターン最適化”電気学会論文集C(電子・情報・システム部門誌),Vol.37,No.1,p.p.61- 67 (2001)
  2. 村野亘,相吉英太郎:”カオス特性を有する多値ヒステリシスマシンによる整数計画 法”電気学会論文集C(電子・情報・システム部門誌),Vol.37,No.1,p.p.76-82 (2001)
  3. 伊藤雄一,田中玲子,相吉英太郎:”均質分散システムの入力端配置問題とその進化的 解法”電気学会論文集C(電子・情報・システム部門誌),Vol.37,No.1,p.p.269-274 (2001)
  4. 小林容子,相吉英太郎:”ニューラルネットワークを用いた沸騰水型原子炉の3次元出 力分布の近似モデル”電気学会論文集C(電子・情報・システム部門誌),Vol.37,No.1, p.p.468-475 (2001)

<田中玲子>

  1. R. TANAKA and K. MUROTA: Symmetric Failures in Symmetric Control Systems, Linear Algebra and Its Applications, vol. 318, pp. 145–172, 2000.
  2. R. TANAKA: Controllability of Hierarchical Systems with Direct Product Symmetry, Trans. Society of Instrument and Control Engineers, vol. 36, no. 11, pp. 1056–1058, 2000.

国際会議

<相吉英太郎>

  1. Y. Kobayashi and E. Aiyoshi:”Optimization of Boiling Water Reactor Loading Pattern Using an Improved Genetic Algorithm,” International Topical Meeting on Nuclear Plant Instrumentation, Controls and Human-Machine Interface Technologies (NPIC &HMIT 2000), November, 2000

<田中玲子>

  1. R. TANAKA and K. MUROTA: Symmetric Failures in Symmetric Control Systems, International Symposium on Mathematical Theory of Networks and Systems 2000, June 2000.
  2. A. TAKAMATSU, T. FUJII, R. TANAKA, H. YAMADA, T. NAKAGAKI and I. ENDO: A multiple coupled oscillator system of the true slime mold, Gordon Research Conferences on Oscillations and Dynamic Instabilities in Chemical Systems, August 2000.

口頭発表

<相吉英太郎>

  1. 相吉:技術者教育認定に関する電気学会の動向, 第39回計測自動制御学会学術講演会 (2000年7月)
  2. 羅,相吉:多体系アルゴリズムによるスケジューリング問題の解法, 第39回計測自動制御学会 学術講演会(2000年7月)
  3. 小林,相吉:ニューラルネットワークによる沸騰水型原子炉の3次元出力分布の予測,第39回 計測自動制御学会学術講演会 (2000年7月)
  4. 小林,相吉:改良型遺伝アルゴリズムによる沸騰水型原子炉の炉心装荷パターン最適化手法 の開発,第39回計測自動制御学会学術講演会 (2000年7月)
  5. 小林,相吉:改良型遺伝アルゴリズムによるBWR炉心装荷パターンの最適化手法の開発(Ⅱ), 日本原子力学会秋の大会 (2000年9月)
  6. 堀江,相吉:数理計画法の視点による生態学・集団遺伝学,神経回路網の方程式の再解釈と 分類,第10回数理生物学シンポジウム (2000年10月)
  7. 熊田,相吉:ポアンカレ写像のニューラルネットワーク近似とそれによるカオス制御,計測自動制 御学会システム情報部門シンポジウム2000 (2000年11月)
  8. 長谷部,相吉:直交基底関数を用いたニューラルネットワークの学習性能,計測自動制御学会 システム情報部門シンポジウム2000 (2000年11月)
  9. 相吉,清水,田口:教師データが多値変数に適用可能なニューラルネットワークの提案,計測自 動制御学会システム情報部門シンポジウム2000 (2000年11月)
  10. 森下,相吉:拡散・対流型学習アルゴリズムによる複数ニューラルネットワークの知識共有化, 計測自動制御学会システム情報部門シンポジウム2000 (2000年11月)
  11. 小林,相吉:改良型GAによるBWR炉心装荷パターンの最適化手法の開発(Ⅲ),日本原子 力学会春の年会 (2001年3月)
  12. 小林,相吉:改良型GAを用いたBWR炉心装荷パターン最適化,計測自動制御学会知能シ ステムシンポジウム (2000年3月)
  13. 田中,相吉:内部状態の線形モード制御を用いたニューラルネットワークによる大域的最適 化,計測自動制御学会知能システムシンポジウム (2000年3月)
  14. 清水,相吉:多値出力ニューラルネットワークを用いたオセロゲームの棋譜学習,計測自動制 御学会知能システムシンポジウム (2000年3月)

<田中玲子>

  1. 田中玲子, 山田裕康, 高松敦子, 中垣俊之: 粘菌振動子系の解析 — 対称系のHopf分岐理論の適用,   第13回自律分散システム・シンポジウム, 2001年1月. 資料 pp. 415–420.
  2. 高松敦子, 田中玲子, 山田裕康, 中垣俊之, 藤井輝夫, 遠藤勲: リング状に結合した粘菌振動子系における時空間振動パターン,   第13回自律分散システム・シンポジウム, 2001年1月. 資料 pp. 411–414.
  3. 山田裕康, 中垣俊之, 田中玲子, 高松敦子: 振動子の結合形態と位相パターン — 粘菌のネットワーク形態ダイナミクスの解析をめざして —,   第13回自律分散システム・シンポジウム, 2001年1月. 資料 pp. 421–424.
  4. 山田裕康,田中玲子,中垣俊之: 折り返し対称性の破れによる葉序遷移, 日本物理学会第56回年次大会, 2001年3月.

学位論文

博士論文(主査)

  1. 堀江亮太,”非線形力学系モデルによる最適化計算手法とそのニューラルネットワーク 実現に関する研究”(計測工学専攻)

修士論文

  1. 伊藤晴信,”ニューラルネットワークによるマニピュレータの逆キネマティクスと軌道の汎化学習に関する研究”
  2. 田中靖浩,”ニューロンの内部状態制御によるニューラルネットワークを用いた大域的最適化”

卒業論文

  1. 大坂哲史,”複製方程式モデルを拡張した色画像連想記憶システム”
  2. 奥川将,”教師無し学習アルゴリズムによる時系列データ解析”
  3. 金子彰宏,”非線形結合振動子系における同調現象の解析とシミュレーション”
  4. 菅野篤,”Black-Scholes偏微分方程式の解のニューラルネットワーク近似”
  5. 清水樹,”多値出力ニューラルネットワークを用いたオセロゲームの棋譜学習”
  6. 後藤達哉,”パルス結合振動子系における同調現象の解析とシミュレーション”
  7. 名手洋,”連想記憶ニューラルネットワークの設計法”
  8. 堀口奈美,”多変数数値データに基づく新しい語彙選択システム”

進路

理化学研究所,横河電機,トヨタ自動車,日立ソフトウェアエンジニアリング, 松下通信アイティエスエンジニアリング,イー・アクセス

助成

文部省科学研究費補助金 奨励研究(A) 「大規模システムの機能創発に関する数理解析」


Dept. Applied Physics and Physico-Informatics