構成

教授 本多 敏
助手 中村 一尊

大学院
大川 晋平(D1)
青山 敦(M2/D1)
井上 剛(M2)
加藤 隆志(M2)
今 修平(M2)
小池 済夫(M1)
真崎 祐一(M1)
矢野 亨(M1)

学部
井戸 達朗
千葉 治樹

研究成果

逆問題とプロセストモグラフィ

神経線維伝導速度分布の推定法,MEG(脳磁界)信号処理法など生体電気磁気現象の解析や逆問題解法の研究と,管内流速分布を電磁誘導信号処理により推定するプロセストモグラフィの研究を継続している.

「Spatial Filter を用いたMEG解析」

MEGは脳が活動したときに神経細胞に流れる電流が頭皮上につくる磁場を観測するものである。 これによって得られた信号から脳の活動部位やその活動強度を調べるために、レーダーやソナーにも応用されている 空間フィルタを用いる研究を行っている。 空間フィルタは所望の信号成分とそれ以外の信号やノイズをそれらが生じた物理的な場所の違いを利用して分離する方法 である。従来からMEGに用いる試みは行われてきたが、moore-penroseの一般化逆行列による空間フィルタはノルムの最小解 になっており、推定される電流密度
分布はセンサ面付近に偏る事が知られている。 本研究ではKullback-Leibler Divergenceを用いた新しい方法により深さ方向を含めた活動源の推定精度の向上が確認されてい る。

「脳内情報処理過程に基づく人工現実感向上に関する研究」

“Study on Enhancement of Virtual Reality Based on Cognitive Information Processing in Human Brain ”
近年、コンピュータと人間の間のインターフェースとして注目されているVR(virtual reality)では、異なる複数の感覚刺激を人工的 に生成・呈示することによって現実感を生み出している。本研究では、脳神経細胞の電気的活動に伴う磁場を非侵襲的に測定する脳磁 計(MEG)を用いて、感覚刺激を呈示した際のヒトにおける動的な脳活動を調べ、推定された脳内情報処理過程に基づいてVRの技術を向 上させることを目的としており、これまで異種感覚情報の選択的統合に関する研究を中心に行ってきた。具体的には、視聴覚刺激の対
応関係の変化を初期の聴覚情報処理過程において検出する機構の存在を発見し、その背景にある先行する視覚情報が初期の聴覚情報処 理過程を修飾し異種感覚統合を促進する機構の存在等を明らかにしてきた。このように生理学・心理学的知見を踏まえた上で、工学的 アプローチにより脳内情報処理過程に基づいて現実感を向上させる研究している.

情報統計力学

「ギャラガー符号型線形符号のブロードキャスト通信路への応用」

1対多の通信路モデルであるブロードキャスト通信路において,1対1の通信において世界最高性能を誇るギャラガー符号を線形組合せ符号化した場合の性能を評価した.ブロードキャスト通信路は情報理論の中で基礎的な通信路として知られるが,現実的な計算量で実現できる最適な符号は未だ見つかっていない.また,線形組合せ符号は,短い符号長の場合では,ブロードキャスト通信路に適した符号を生成することが知られているが,長い符号に対して効果的に働くかは明らかではなかった.そこで本研究では,符号長の無限大の極限で世界最高性能であることが知られているギャラガー符号を線形組合せ符号化し,その性能を統計力学で発展したレプリカ法を用いて評価した.その結果,確率的推論アルゴリズムとして知られるビリーフ・プロパゲーションの性能は向上するが示された.しかしながら,符号長無限大の極限での性能は,理論的性能限界(カバー限界)には達
しないことも示された.

「有限符号長ギャラガー符号の性能評価」

ギャラガー符号に確率的推論アルゴリズム(ビリーフ・プロパゲーション)を用いて復号を行うと,現在,世界最高の誤り訂正能力を示すことが知られている.この符号の性能を評価する既存研究として密度発展法が知られているが,この手法は符号長無限大の極限を仮定し,現実的な状況である有限符号の場合では有効に働かない.符号長が有限の場合,ギャラガー符号の性能評価法には本質的に計算機実験しかなく,これにはかなりの計算量が必要とされる.本研究では確率的推論アルゴリズムの振舞いに仮定を置くことで,有限符号長の場合の性能を,近似的にではあるが,計算機実験を直接行うよりも高速に評価できる手法を提案した.提案手法は符号の性能を定量的に評価することは難しいが,定性的な振舞いを評価することができる.

発表論文・学会発表など

論文

国際会議発表

Shinpei Okawa, Satoshi Honda, MEG Analysis with New Spatial Filter, Proc. SICE ANNUAL CONFERENCE 2003, 2003

H. Yamasaki,S. Honda,M. Ueda,A. Endou,M. Fueki, A Novel Non-intrusive Resistance Thermometer for Fast Breeder Reactor, Proc. SICE ANNUAL CONFERENCE 2003, 2003

T. Katoh,S. Honda,
3-D Flow Tomography through Electro Magnetic Induction, Proc. SICE ANNUAL CONFERENCE 2003, 2003

T. Katoh,S. Honda, 3-D Flow Reconstruction with Electromagnetic Flowmeter, Proc. International Symposium on Fluid Control and Measurement, FLUCOME SORRENTO 2003, 2003

K. Nakamura, Y. Kabashima, R. Morelos-Zaragoza, D. Saad, Statistical mechanics of broadcast channels using low-density parity-check codes, 2003 IEEE International Symposium of Information Theory, Yokohama, Japan, 2003.

口頭発表

大川晋平,本多敏,”新しい空間フィルタによるMEG 解析”,第18回日本生体磁気学会大会,pp.154-155, May, 2003

青山敦,遠藤博史,本多敏,武田常広,“先行する視覚情報が聴覚情報処理に及ぼす影響の脳磁場解析”,第18回日本生体磁気学会大会,pp.214-215 (2003.5)

青山敦,遠藤博史,本多敏,武田常広,“先行する視覚情報による聴覚情報処理修飾のMEG解析”,第33回日本臨床神経生理学会・学術大会,pp.272 (2003.10)

井上剛,東野一隆,五島史行,本多敏,小川郁,国弘幸伸,“MEGを用いた顔面運動関連磁場の解析”,第18回日本生体磁気学会大会,pp.170-171 (2003.5)

井上剛,東野一隆,五島史行,本多敏,小川郁,国弘幸伸,“MEGを用いた顔面運動関連磁場の解析”,第26回顔面神経研究会,(2003.6)

今 修平,遠藤博史,青山敦,本多敏,武田常広,“絶対音感保持者における音高知覚課題に伴う脳活動”,第18回日本生体磁気学会大会,pp.212-213 (2003.5)

中村一尊,大平徹,樺島祥介,”有限符号長ギャラガー符号の性能評価”,日本物理学会秋季大会,岡山,(2003.9).

学位論文

博士論文(副査)

平原修三 「液体トナー電子写真における分散粒子とマイクロ流体に働く力学
的作用の研究」(基礎理工学専攻)

修士論文

青山 敦 “Study on Selective Integration of Crossmodal Information”
井上 剛 “MEG data analysis during facial movement using ICA”
加藤 隆志 “3-D Flow Tomography through Electro Magnetic Induction”
今 修平 “Brain Activity in Absolute Pitch during Pitch Perceptual Task”

卒業論文

井戸 達郎 「隠れマルコフモデルに基づく音声合成」
千葉 治樹 「母語および外国語の単語認知のMEG解析」

進路

慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程
キャノン(株) 2名
J-POWER
(株)ナムコ
東京大学大学院情報理工学系研究科

受賞

なし

助成

平成15年度科学研究費補助金基盤(C)「非定常流速分布計測のための電磁誘導型プロセストモグラフィに関する研究」
慶應義塾学事振興資金(個人研究A)
慶応工学会
(株)山武「非対称励磁方式による流体計測技術の研究」