2003年度 安西研究室

1. 構成

教員:安西修一郎(教授)
学生:橋本 哲(修士2年)
矢後理久、福井悠、内生蔵俊之、堀切康平(学部4年)

2. 研究成果

2-1 「フェリ磁性体の磁化容易軸測定法の研究」

一昨年度に室温までキュリー温度を上昇させることに成功したフェリ磁性体を用いて磁化容易軸の測定法を開発、その容易軸を決定した。目下、投稿論文作製中。

2-2 「低温相Mn7Sn4の磁性のNMR研究」

2年ほど前に東北大にて磁場下のNMRの共鳴周波数変化を共同研究測定した。一昨年は、それらのデータの解析を終わった。また、昨年度は本学のSQUIDにより、フェリ磁性モーメントの温度変化ならびに、スピングラス成分に関するデータを取り終わった。これらの結果より、このシステムではマイノリテイー磁気副格子のMnモーメントが大きく傾き、そのために高温相よりかなり大きな自発磁化を持つことを明らかにできた。目下論文執筆を一昨年度から続行中である。

2-3 「螺旋磁気連鎖の切断破片集合システムの磁気秩序に対する磁場効果‐その1」

(Cr{1-x}Tix)5S6について、表記の現象を研究した。成果の一部(Ti濃度の薄い部分と濃い部分)を国際磁気学会(夏、ローマ)で講演(講演者:橋本)した。その内容は、発表論文(3)として公刊される。

2-4 「螺旋磁気連鎖の切断破片集合システムの磁気秩序に対する磁場効果‐その2」

(Cr{1-x}Tix)5S6について、Tiの中濃度のところで現われるナノスケールの相互作用の関係した現象を研究した。目下論文執筆中である。

2-5「3角プリズム型競合系におけるリエントラントスピングラスの消失現象」

フェリ磁性温度より低い温度でスピングラス的挙動を示すMn7Sn4は、Rh不純物によってフェリ磁性モーメントを失い、普通のスピングラスとなることが分かった。Mn7Sn4では、三角プリズムの中心に有るMnIIと稜に有る6個のMnIが反平行のスピン配列を持つ。低温でスピングラス的挙動が見られるので、MnIIとMnIは強い反強磁性相互作用を持っていて、c軸に沿うお互いに負の実効交換積分を持つと考えられる。そのため、後者はお互いに競合していて、強いフラストレーションを感じている。この成果は、発表論文(1)に公刊された。高濃度Rh領域でのスピングラスの特異な性質について目下論文執筆中である。

2-6 「Mn7Sn4の磁性に対する3dと4d不純物置換効果」

Cr,Fe,Co,Pdを不純物とした場合を測定・比較した。Feの場合には、温度ならびにFe濃度に依存した電子状態転移が重畳することが分かった。この点について国際磁気学会(夏、ローマ)で講演(講演者:安西)を行い、論文(2)として公刊される。

3.発表論文、学会発表、特許など。

発表論文

  1. Effect of Rh Substitution on the Magnetic Transition Temperatures in the Ni2In-Type Mn7Sn4, Journal of the Physical Society of Japan, Vol.72(No.4, 2003) pp968-969(安西修一郎、花井久徳、橋本哲、高山義康、常磐直哉、佐藤徹哉).
  2. Magnetic Properties of (Mn{1-v}Crv)7Sn4, (Mn{1-z}Fez)7Sn4, (Mn{4.5}Fe{2.0}Co{0.2})Sn4, and (Mn5Fe2)(Sn3Ge), Journal of Magnetism and Magnetic Materials, (in printing), (安西修一郎、阿部文彦、高山義康、藤井誠二、杉亮一、柿本、成田、菊池彩、森恵美子).
  3. Magnetic Field Effect on the Magnetic Properties of (Cr{1-x}Tix)5S6, Journal of Magnetism and Magnetic Materials, (in printing), (松田雄二、橋本哲、安西修一郎、佐藤徹哉、山田吉雅、太田晶).

学会発表

  1. 「(Mn{1-w}Rhw)7Sn4における非線形磁化率とRh優先的置換性」、日本物理学会2004第59回年次大会27pPSB31、橋本 哲(講演者)、堀切康平、佐藤徹哉、安西修一郎。
  2. 「Ni2In型(Mn{1-w}Rh{w})7Sn4におけるスピングラス特性」日本物理学会2003第58回秋大会21aPS9、橋本 哲(講演者)、佐藤徹哉、安西修一郎。
  3. 「低温相Mn7Sn4の磁性に対する不純物置換効果」、日本物理学会2004第59回年次大会27pPSB23、堀切康平(講演者)、橋本 哲、田久保耕、安西修一郎、松田敦義、仲田大作。

4. 学位論文

修士論文

橋本 哲「競合性フェリ磁性体における磁気秩序破壊効果」

学士論文

矢後理久 「Ni2In型(Mn{1-x-y}FexCry)7Sn4の磁気特性の研究」
堀切康平「低温相(Mn{1-w}Rhw)7Sn4の磁気特性と結晶構造」
福井 悠「Pd置換効果によるMn7Sn4の磁気的特性の変化」
内生蔵俊之「(Mn{0.97}Pd{0.03})7Sn4の磁気特性」

5. 進路

昭和電工(株)就職
大学院基礎理工学専攻進学 3名
NTTデータ(株)就職

6. 研究助成

なし。研究内容がスピングラスに関連してきたので、その分野の第一人者佐藤徹哉教授に成果2‐3から2-5までの共同研究をお願いし、ご指導いただいている。


Dept. Applied Physics and Physico-Informatics