2004年度 本多研究室

■構成

教授

本多 敏

助手

中村 一尊

大学院

大川 晋平(D2)
青山 敦(D1/D2)
小池 済夫(M2)
真崎 祐一(M2)
矢野 亨(M2)

学部

秋元 新哉
越後谷 俊太
北川 聡一
木村 綾
中村 茉莉
前里 健太郎

■研究成果「逆問題とプロセストモグラフィ」

神経線維伝導速度分布の推定法,MEG(脳磁界)信号処理法など生体電気磁気現象の解析や逆問題解法の研究と,管内流速分布を電磁誘導信号処理により推定するプロセストモグラフィの研究を継続している.

「梅雨季の九州地方に発生する集中豪雨の災害ポテンシャル」

集中豪雨の多くは局所・突発的に発生する傾向があり,早期の警戒警報を行うことが非常に難しい.集中豪雨発生を説明するためのモデルとして「対流不安定な状態の中で,気塊を上方変異させる現象が起きてしまい,気塊が不安定化し,集中豪雨となる」というモデルが提案されている.しかし気塊を上方変異させるトリガー現象のメカニズムは明らかになってはいない.そこで本研究では,特殊な大気の水平構造がトリガーとなっていると仮定し,九州地方で発生した集中豪雨に対してその仮定の妥当性を評価した.解析の結果,水平2000km以上の撹乱が起きているときは集中豪雨となる可能性が高いことが示された.

「多層音響ホログラフィによる,超音波探傷法TOFDの解析」

金属材料内の深さ方向に発生した傷(ノッチ)を評価する最も有効な手法として、近年
TOFD(Time of Flight Diffraction)が注目されている.これは,検査対象の同側表面に斜
角探触子を向かい合わせで非接着配置し,一方の斜角探触子から超音波を発信し,傷上端
からの散乱波を他方の斜角探触子で受信するものである.その際,同時表面をP波速度で
伝わるとされるラテラル波と,回折波との到達時間差から傷の深さを推定する.現在の基
準では,送信・受信探触子を点音源の無指向性放射であると仮定して,極めて単純な計算
により傷の位置を評価する.しかし,TOFD探傷法には,発信時刻の扱いの問題,微弱なラテラル波の検出や,ラテラル波そのものの音速に関する問題,また傷と探触子の距離が十分でない場合,評価することが難しいといった問題がある.本研究では,ラテラル波を用いない場合を仮定し,発信時刻を仮定した上での従来法TOFOによる傷評価と,探触子内部の伝搬までを考慮した多層音響ホログラフィによる受信波の再現と,それを利用したテンプレートマッチングによる傷評価法の比較を行った.

「心拍変動における不等間隔サンプリングデータの周波数解析手法の提案」

自律神経の不調は心拍変動に現れると考えられている.しかし,心拍変動を周波数解析し
ようとすると,不等間隔サンプリングのため,従来の解析手法が有効に働かないことが知
られている.Dutt, Rokhlinらは不等間隔サンプリングデータに対して,近似的にではあ
るが,高速Fourier変眼を行うアルゴリズムを提案した.そこで本研究では,このアルゴ
リズムが心拍変動の解析にどの程度有効であるかを評価した.解析の結果,Dutt,
Rokhlinアルゴリズムは,従来手法であるスプライン補完法をほぼ同等の解析結果を与え
ることが示された.心拍変動解析は2つの手法で異なる結果を与えないと言える.

「ハイパーパラメータ推定を用いたCDMAマルチユーザ復調”」

CDMA(Code Division Multiple Access)において, 高い復調性能を得るための技術として
マルチユーザ復調が提案され注目を集めている.しかしこの復調方式では,復調時に通信
路ノイズの統計的性質を必要とするため,現実的には何らかの手段で推定を行う必要が発
生する.本研究では,「通信路ノイズの統計的性質」をハイパーパラメータ推定問題とし
て捉え,復調アルゴリズムの提案と理論解析を行った.解析の結果,我々の提案するアル
ゴリズムは通信路状態を既知とした場合(理想的な場合)をほぼ同等の性能を持つことが
示された.

「通信路推定を組み合わせたギャラガー符号の性能評価」

ギャラガー符号は現在最も性能の良い符号として知られている.復号にはビリーフ・プロ
パゲーション(BP)・アルゴリズムを用いるが,このアルゴリズムは事前に通信路情報を
必要とする.そこで本研究では最尤推定による通信路推定とBPを組み合わせたアルゴリズムを提案しその性能評価を試みた.

■発表論文・学会発表など

論文

J. Ushiba, S.Honda, Y. Onishi, Y. Tomita, Y. Masakado,
An integration test for peri-stimulus time histograms,
Medical & Biological Engineering & Computing,
vol.42(2), pp.264-271, 2004.

国際会議発表

Shinpei Okawa, Satoshi Honda,
Noise reduction from MEG data,
Proc. SICE ANNUAL CONFERENCE 2004, 2004年8月,

Shinpei Okawa, Satoshi Honda,
MEG Analysis with Spatial Filter and multiple linear regression,
Proc. SICE ANNUAL CONFERENCE 2004, 2004年8月,

T. Katoh, S. Honda,
Estimation of 3-D Flow Tomography through Electro Magnetic Induction
Proc. SICE ANNUAL CONFERENCE 2004, 2004年8月,

S. Honda, T. Yamamoto
A New Configuration of Electro-Magnetic Flowmeters with Self-Calibration
Proc. SICE ANNUAL CONFERENCE 2004, 2004年8月,

Aoyama A, Endo H, Honda S, Takeda T,
Effect of Vision-Based Prediction on Auditory Information Processing,
Proc. 14th Int. Conf. Biomag. (2004) 499-500.
2004年8月,

口頭発表

本多敏,山本友繁,
“自動校正機能を持つ電磁流量計の理論解析”,
計測自動制御学会第21回センシングフォーラム,東洋大,2004.9.14

本多敏,
“横断性への指向-モデルと逆問題”,
計測自動制御学会第21回センシングフォーラム,東洋大,2004.9.14

中村一尊, 矢野亨, 本多敏,
“平均場近似アルゴリズムのレプリカ法による性能評価”,
日本物理学会2004年秋季大会,青森大,(2003.9.12-15).

矢野亨, 中村一尊, 本多敏,
“ハイパーパラメーター推定を用いたCDMAマルチユーザー復調の統計力学”,
日本物理学会2004年秋季大会, 青森大, (2004.9.12-15)

中村一尊, 矢野亨, 本多敏,
“Statistical mechanics of hyperparameter estimation in CDMA
multiuser demodulation”, 科研費特定領域「確率的情報処理への統計力学的
アプローチ」平成16年度第2回公開シンポジューム「確率推論の数理」,
東北大, (2004.12.6-8).

中村一尊, 矢野亨, 本多敏,
“Performance Evaluation of Mean Field Approximation”,
Satellite Meeting of STATPHYS 22 “Statistical Physics of Disordered Systems and
Its Applications (SPDSA2004)”, 湘南葉山Shonan Village Center, (2005.7.12-15).

■学位論文

博士論文(副査)

(総合デザイン工学専攻)
渡邊 英雄 「熱伝導率・熱拡散率の同時測定のための非定常細線加熱法の高精
度化と液体炭化水素類の測定」

(基礎理工学専攻)
増田 和明 「多様体上の非線形力学系による制約条件付最適化に関する研究」

衛藤 憲人 「赤外線CCDカメラを用いた眼球運動測定システムの構築および
その臨床応用」

修士論文

小池 済夫  ”Disaster Potential Study of Local Heavy Rainfall
during the Baiu Season in Kyushu, Japan”
眞崎 祐一  ”A Study of Time of Flight Diffraction Method with
Multilayer Acoustic Holography”
矢野 亨   ”Statistical Mechanical Analysis of Hyperparameter
Estimation in CDMA Multiuser Detection”

・卒業論文

秋元 新哉  「脳波測定による時間縮小錯覚の研究」
越後谷 俊太 「リードフィールド行列に基づくMEG信号の分類法に関する研究」
北川 聡一  「心拍変動における不等間隔サンプリングデータの
周波数解析手法」
木村 綾   「トレッドミル型歩行解析装置開発の基礎研究—合成床反力
からの両脚支持期床反力推定—」
中村 茉莉  「視覚誘発自己運動感覚のMEG解析」
前里 健太郎 「通信路推定を組み合わせたギャラガー符号の性能評価」

■進路

慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程
慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程4名
(株)日立
(株)豊田自動織機
NTT東日本

■受賞

応用物理情報専修 専修主任賞:矢野 亨

■助成

慶應義塾学事振興資金(個人研究B)
(株)山武「非対称励磁方式による流体計測技術の研究」


Dept. Applied Physics and Physico-Informatics